「これが俺の仕事なんだよ」

目の前に、男性が二人。

二人とも、どこかの社長さんで、今日は接待みたいだ。
お酒を飲んでいる。
三軒目くらい、多分。

人のよさそうな右の社長さん。
飄々として精力的な印象の左の社長さん。
それぞれの隣には、おそらく、ホステスさん。

社長さん同士はもう会話しておらず、
それぞれの隣のホステスさんとお話ししている。

人のよさそうな右の社長さん、
こんなに飲むのは久しぶりなんだよ、という。
ただ、理由を明かさない。

何度か繰り返される、会話。
ホステスさんが聞く、
体調が悪いの?
言葉を濁す社長さん。

体調悪いんだったら飲んじゃだめじゃない、
当たり前のようにたしなめるホステスさん。

社長さんの顔が、さっと不機嫌になる。

「これが俺の仕事なんだよ」

少し怒ったように、でも押し殺すように。
きっと隣の社長さんには聞こえていない。

いつも言い聞かせているのだろうか。
守るものがある人の顔だった。

私にはできない、顔だった。